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令和5年度 所信表明

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年3月6日更新

令和5年度 町政運営方針

 

はじめに

 本日ここに、令和5年第1回おいらせ町議会定例会が開会され、令和5年度当初予算案をはじめ、各般にわたる議案についてご審議を願うにあたり、町政運営に対する私の所信の一端を申し上げ、議員各位をはじめ、広く町民の皆様の深いご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 昨年3月に、町政の舵取り役として通算3期目に入りましたが、早いものでもう1年が経とうとしております。
 この間、任期満了を迎えた副町長と教育長について引き続きの任命を行い、これまでの歩みを止めることなく、三役と職員が一丸となって、町政運営に取り組んでまいりました。
 私が目指すおいらせ町の姿は、政策公約のテーマとして掲げた、すべては子どもたちの未来のために「明るく元気で持続可能なまちづくり」と、今を生きる人たちが「安全で安心できるまちづくり」、この2つであり、これらを常に念頭に置き進んでまいりました。
 今後も、取り組みを進める過程において、議員各位には、協議もしくは審議をお願いする場面も多々あるかと思いますが、皆様におかれましては「町民の幸せと町の発展」という共通の目標に向かって、引き続き温かいご支援とご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。 

町を取り巻く情勢

 当町を取り巻く情勢に目を向けますと、我が国全体、中でも地方の人口減少が深刻化する中において、当町は2万5千人規模の人口を維持できております。
 しかしながら、現在は微増状態にはあるものの、今後減少局面に入ることが予想されており、さらに、65歳以上の高齢化率が現時点の28%から、20年後には40%を超える推計となっております。
 また、15歳から64歳までの生産年齢人口が極端に減少した場合、働き手の不足から、農業や漁業を始め、サービス業や食品加工業の縮退が進み、経済規模が減少するほか、各種民間サービスはもとより、行政サービスの低下を招き、医療費や社会保障費など住民負担の増大や、コミュニティの衰退等が懸念されます。
 行政においても労働力の絶対的な不足は避けられず、新たな自治体行政の在り方として、情報通信技術、いわゆるICTを活用した、従来の半分の職員でも自治体の担う機能を発揮できるような仕組みを備え、人口減少や少子高齢化における多様な行政ニーズに対応できるよう、行政の変革が求められています。
 今後、持続可能な形で行政サービスを提供し続けるためには、行政内部の効率化、省力化を図り、企画立案など、職員でなければできない業務に注力できる体制への転換を図っていく必要があると考えているところです。
 また、新型コロナウイルス感染症は、最初の感染拡大から3年が経過し、いくつもの感染の波を乗り越え、現在は、ウィズコロナの時代に入りました。
 今年5月には、季節性インフルエンザと同様の、5類感染症に枠組みを見直すという政府方針が示されていることを踏まえ、家庭、学校、職場や地域など、あらゆる場面において、一日でも早く、コロナ前の日常を取り戻すことができるよう、安全・安心の対策をしっかり取り、尽力してまいります。

令和4年度の総括

 さて、令和4年度を振り返りますと、4月に、県内初となる先進的事例としても報道されました、デマンド型乗り合いバス「通称、おいらバス」が運行を開始しました。運行当初は、1日あたり30人程度であった利用者数も、現在では1日平均70人を超える月もあるなど好評を得ており、高齢者や交通弱者の日常の移動手段として、定着しつつあるものと思っております。
 6月には、いちょうマラソン大会を開催しました。令和3年度は参加者を町民に限定し、いちょう公園内のコースで開催しましたが、今年度は参加者を青森県民に拡大し、コースも従来のように一般道を利用し、大会当日は600人を超えるエントリーで盛り上がりを見せました。
 また、町民駅伝大会や県民駅伝大会の練習コースとして利用している、下田公園内園路の一部の未舗装区間について舗装工事を行い、競技力向上と練習環境の充実が図られたところです。
 コロナ禍における安全、安心の取り組みとしては、ワクチン接種事業では、国が示す事業実施期間の延長から、対象年齢や接種回数の拡大等が行われた際に、その都度、接種体制の確保や迅速な情報提供が求められましたが、臨機応変に対処し、町内医療機関の協力を得ながら、希望者へのワクチン接種を順調に実施することができました。
 また、感染拡大の影響を受けている飲食業や商工業者を始め、様々な業種、産業の方々に対し、経済的支援を行いました。具体的には、農業者や漁業者、運送事業者や社会福祉施設等への物価及び燃油価格高騰対策支援としての給付金の支給や、消費拡大をねらいとした商工会プレミアム付き商品券発行への補助、さらに、生活負担への支援として、全町民一人5千円の生活支援商品券の配布や、事業者が経営安定資金の融資を受ける際の信用保証料に対する補助など、今できることをすべてやるという気持ちで取り組んでまいりました。
 子育て環境と学校教育環境の充実として、小中学校については、快適な学びの空間を創出するため、エアコンを設置する事業を進めているほか、学校給食費の無料化を継続しております。さらに、百石高校から大学進学をめざす生徒のための「百石高校の存続支援事業」により、模擬試験と学習塾費用の助成を行い、その成果として、学習塾助成の利用者1名が弘前大学に合格するなど、百石高校のPRにもつながったところであります。
 マイナンバー制度関連として、今年1月からコンビニ交付サービスを開始し、マイナンバーカードを持っていれば、住民票や印鑑証明、所得課税証明等を、全国のコンビニエンスストアで取得することが可能となり、夜間や休日など役場が閉まっている時間帯でも取得できるようになったことから、住民の利便性が大きく向上したところです。
 さらに、歳出面だけではなく、歳入面においても工夫を凝らしました。老朽化等により更新したスクールバス2台について、単にお金をかけて廃車処分することはせず、競売にかけて売却し、2台合わせて300万円ほどの収入を得ることができました。このほか、各事業において、国、県の補助事業や交付税措置の有利な地方債が活用できないか検討するなど、より有利な財源の確保に努めたところであります。
 このほかにも、政策公約や町総合計画に掲げた各施策に、積極果敢に取り組んできたところであります。

町政運営の基本姿勢、主要施策の概要

 それでは、令和5年度の町政運営の基本姿勢について、申し上げます。
 私はいつも、将来のおいらせ町のあるべき姿を思い浮かべながら職務にあたっており、それを実現するために政策公約を掲げ、2つの「目指す町の姿」を念頭に、6つの「政策の柱」と8つの「主要施策」を体系化して、町政運営を進めております。
 まず、「私が目指すおいらせ町の姿」の1つ目は、すべては子どもたちの未来のために「明るく元気で持続可能なまちづくり」であります。
 「子に勝る宝無し」と言われるように、町の将来を担う今の子ども達は、やはり町の宝物であります。町の子育て支援策を受けて、のびのびと成長した子ども達が大人になって、ふるさとおいらせ町のために汗を流し、次の世代の子ども達を育てる、こうした好循環こそが「持続可能なまちづくり」であると考えます。
 民間会社による住み心地ランキングで、おいらせ町が青森県一となっているのも「明るく元気で持続可能なまち」であるという、一つの民意の現れでもあると思っています。
 続いて、「私が目指すおいらせ町の姿」2つ目は、今を生きる人たちが「安全で安心できるまちづくり」であります。
 12年が経過しても、今なお脳裏に鮮明に焼き付いて離れない東日本大震災は、町長としての、私の出発点でもあります。そして、昨年8月の豪雨災害では、当町においても道路や農地などに大きな被害が発生しており、いつやって来るか分からない災害に対しても、町民の生活を守ることの重要性を強く感じております。
 災害時に防災の拠点となる役場庁舎は、現在、大規模災害想定において、浸水する区域に入っています。さらに、医療の拠点となる、おいらせ病院もまた、役場庁舎同様、浸水する区域に入っています。この2つを、早期に浸水しない区域に移すことが最重要課題であると考えており、町民の生命と財産を守るため、安全で安心できるまちづくりに全力で取り組んでまいります。
 次に、主要施策の概要として、政策公約として掲げる6つの「政策の柱」と、重点的に取り組む8つの「主要施策」について、ご説明いたします。
 
 1つ目の柱は、『コロナ禍の安全・安心対応』であります。
 新型コロナワクチンの今後の接種について、政府としての明確な方針は示されていないものの、厚生労働省の専門部会の中では、感染の拡大を防ぐための特例的な措置として、令和5年度末まで公費による負担を継続し、令和5年度中に、全年齢を対象とした接種を1回、重症化リスクの高い高齢者などは2回の接種を行う方針を示していることから、現在、保健こども課に課内室として設置している「新型コロナウイルスワクチン接種対策室」を、令和5年度も継続した上で、主要施策の1つとして、引き続き、感染症予防対策に積極的に取り組んでまいります。
  

 2つ目の柱は、『子育て環境・学校教育環境の充実』であります。
 主要施策の「学校給食費の無料化」は、昨年の定例会において、議員各位のご理解とご協力をいただき、すでに実施しており、コロナ禍において食材費等が高騰する中にあっても、保護者の負担を強いることなく、子ども達に、安心して充実した、食の環境を整えることができております。
 また、主要施策の「通学路の安全確保」ですが、町通学路安全推進協議会の点検結果と、町通学路交通安全プログラムに基づき、通学路のカラー舗装化を引き続き実施するほか、狭い道路に歩道を確保するため、水路等に蓋を被せて歩道とする、歩行者空間の整備を、今年度に引き続き実施してまいります。
 このほか、子ども達が勉強に集中しやすい環境をつくるため、小中学校にエアコンを設置する事業を進めております。今年度は小学校5校が完了しており、令和5年度には、中学校3校が完了する見込みであります。
 さらに、国のギガスクール構想に対応し、デジタル情報教育を推進するため、各学校の通信環境を向上させるための、ネットワーク関連工事を実施するほか、教育委員会にICT支援員を配置し、全学校統一した、デジタル教育を推進してまいります。
 
 3つ目の柱は、『健幸まちづくりの推進』であります。
 主要施策の「スポーツ施設の環境整備」では、令和8年度の国民スポーツ大会青森県開催を見据え、大会の会場となっている、下田公園野球場の安全ラバーの改修工事を実施するほか、誰もが楽しむスポーツ環境の整備推進のため、いちょう公園テニスコート照明塔の塗装及びLED化工事など、体育施設の改修や修繕工事を行ってまいります。
 また、主要施策の「おいらせ病院の早期移転建て替え」では、すでに実施している病院の経営に関わる調査と分析を踏まえ、公立病院経営強化プランを策定した上で、医療と福祉の連携を見据えた、病院の移転建て替え事業を進めてまいります。
 このほか、これまで実施してきた健診事業などを継続した上で、新たな事業として、町民課、保健こども課、介護福祉課の3課連携による、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施により、単に長寿命化をめざすのではなく、いわゆる健康寿命をできるだけ伸ばすための事業を展開してまいります。
 
 4つ目の柱は、『人口定住と生活基盤の整備』であります。
 主要施策の「おいらバス」については、先ほども触れましたように、好評を得ており、今後も継続しながら、事業を検証し、利便性の向上を図ってまいります。
 また、主要施策の「北部地区への郵便局の開局」ですが、木ノ下児童センター南側の用地取得はすでに完了しているため、なるべく早期の開局ができるよう、引き続き、日本郵便株式会社へ働きかけを行ってまいります。
 このほか、「災害に強い街づくり」として、年々深刻化する風水災害に対応するため、河川近傍を所管する消防団各分団に排水ポンプを配備するほか、最新の町津波避難計画に対応するため、既に設置している津波避難誘導標識の改修を行います。
 また、合併以来の懸案となっている役場の、統合新庁舎の建設については、今年1月の議員全員協議会にて報告し、その後2月に、中学校区ごとに開催した住民懇談会においても説明したとおり、建設候補地をイオンモール下田の西側に、最終的に決定し、令和5年度は基本構想、基本計画を作成します。約40億円と見込まれる事業費の財源に、合併特例債を活用するためにも、令和12年度の活用期限を見据え、スケジュールから遅れることなく事業を進めてまいります。
 
 5つ目の柱は、『産業振興の発展』であります。
 当町における、農水産業の担い手や後継者不足は深刻であり、持続可能な生業に繋げるためにも、引き続き、関係者や関係団体と連携した調査研究を実施してまいります。
 また、観光の目玉の一つであり、これまで当町の一大イベントとして数千人の来場者で賑わいを見せた「おいらせ鮭まつり」の代替イベントとなる新規事業として、町観光物産協会が主体となって、下田公園全域を会場に実施を予定している事業ですが、チェーンソーアートやツリークライミング、キャンプ場を利用した火おこし体験と、その火を利用した南部せんべい手焼き体験、農村環境改善センターを利用した郷土料理の調理体験コーナーなど、一家で一日中楽しめるようなイベントになっており、町としても支援してまいります。
 
 そして、6つ目の柱が、『持続可能な健全財政の維持と確実な行政運営』であります。
 この柱自体が主要施策の1つでもありますが、まず、分かりやすく透明性を持った行政の実現として、引き続き、町の財政状況等を、広報紙やホームページ上で、工夫を加えつつ公表します。
 次に、高度成長期やバブル期に建てられた、公共施設の老朽化に対応していくためにも、適正な維持管理と長寿命化対策に加え、大規模改修や集約も視野に入れながら、公共施設マネジメントの着実な推進を図ります。
 また、施設の適正管理を今後も持続するためにも、維持費に見合う適正な受益者負担や減免制度の見直しを進めます。
 さらに、自治基本条例や町総合計画をはじめとした、各種計画書に基づいた施策の実施検証を行うためにも、「住民との会話」を引き続き行ってまいります。

おわりに

 以上、町政運営にあたり、政策公約に基づく、私の所信の一端を申し述べました。
 結びとしまして、私の町政に対する信念、信条を一つ申し述べさせていただきます。
 私は、町民からの民意を負託された者が、関係者の協力の下、様々な議論を通じて、慎重の上にも慎重を期し、検討した結果として、決断した町の方針や、それを形にした予算案や議案等を、町議会において議論をつくした上で、最終的に実行に移す。それが町政であり、民意を負託された者の使命であると考えます。
 そして、議会と行政が車の両輪のごとく同じ方向に向かって走ることで、町民への有益性を生むことにつながるものと思っております。
 町民並びに議員の皆様の、より一層のご理解とご協力をお願い申し上げ、令和5年度の町政運営にあたっての所信表明といたします。


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